「気候民主主義の日本における可能性と課題に関する研究」プロジェクトの松橋啓介・国立環境研究所室長らによる査読付論文「気候市民会議つくば2023の設計と運営」が、土木学会論文集に掲載されます。掲載に先立ち、国立環境研究所の研究成果リポジトリで公開されました。
本論文では、人口規模20万人程度の中規模自治体での実施を想定し、先行する国内4事例と英国2事例の気候市民会議の設計を比較整理した上で、「気候市民会議つくば2023」の設計段階から全6回開催された会議の運営までを詳細に記しています。さらに考察では、今後の気候市民会議の設計と運営の参考となるよう、組織体制、参加者募集と抽出、意見・アイデアの公募、情報提供、参加者の意識変容、提言に関する参加者の自己評価、フォローアップと多岐にわたって分析し、つくば市での試みの評価や改善策も示しています。
「現時点で国内で最良の気候市民会議」を目指したつくば市の事例について、「市と研究機関等との緊密な連携を通じて、提言を政策に反映する約束を事前に行うことができた。これに加えて、謝礼額を増やしたこともあり、類を見ないほど多くの参加申し込み者を得ることができた。性別、年齢、居住地区に加えて、気候変動問題への関心についてもバランスを取ったミニ・パブリックスを構成することにつながった。その結果、市は、提言を政策に反映させる意欲を強くし、その姿勢が参加者の参加意欲を高める正のスパイラルにつながった」と総括しています。
【論文情報】
論文標題:気候市民会議つくば2023の設計と運営
著者名:松橋啓介・徳田太郎(ウニベルシタスつくば)・村上千里(環境政策対話研究所)・尾上成一(国立環境研究所)
掲載雑誌:土木学会論文集、80巻26号
発行日:2024年11月
本論文は、下記の国立環境研究所の研究成果リポジトリよりダウンロードできます。
https://nies.repo.nii.ac.jp/records/2000191