気候市民会議さっぽろ2020の第1回会議が11月8日に始まりました。12月20日まで4回にわたって行います。
11月8日の第1回会議では、冒頭、協力機関である札幌市の秋元克広市長からビデオメッセージを頂きました。
「私たち人類がこのままの生活を続け、気候変動がさらに進んでしまうと、札幌にとっての冬の財産である雪も、将来の世代に残せなくなってしまう可能性がある。気候変動対策は様々な主体とともに取り組まなければならない地球規模での課題。札幌市でも「ゼロカーボンシティ」を実現していくため、この会議[気候市民会議さっぽろ2020]で頂いた議論の内容や意見も踏まえながら、札幌が気候変動にも対応したさらに魅力あふれる持続可能なまちとなるよう、市民の皆様とともに取り組みを進めていきたい」(秋元市長)
ガイダンスの後、早速、会議がスタートしました。第1回ではまず、4組5人の参考人によるレクチャーと質疑応答を行いました。
1人目の参考人は、実行委員で、気候変動リスクが専門の江守正多さん(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長)。地球温暖化の仕組みと、その影響の深刻さを解説した上で、脱炭素の可能性について情報提供しました。その上で、論点1で脱炭素社会のビジョンや、札幌での実現時期について議論する手がかりとして、世界と日本における、政府や企業、自治体、市民社会の最新の動きについても紹介しました。
「ヨーロッパを始めとして、2050年実質ゼロよりもさらに野心的な目標を掲げている都市や国もある。札幌がいつ脱炭素社会を目指すべきかを考える上では、こうした動きにも注目したい。脱炭素化が生活に及ぼす影響は色々とあるが、必ずしも我慢しなければならない、負担が増えるばかりということではない。排出削減に貢献する産業に投資することで、地域経済の活性化、景気への好影響につながる可能性もある」「社会には気候変動問題以外のさまざまな課題が存在している。日本でいえば、少子高齢化、地方の過疎化、格差の拡大など。脱炭素社会を思い描く際には、同時にこれらの課題にどう向き合うかを考えることも重要」(江守さん)
2番目の参考人は、札幌市環境局の山西高弘さん(気候変動対策担当係長)と、佐竹輝洋さん(環境政策担当係長)。お二人からは「札幌市が目指そうとしていること」「これからやろうとしていること」についてレクチャーを頂きました。
「札幌市の取り組みが北海道全体に波及していくことも考えていかなければならない。北海道は再生可能エネルギーのポテンシャルが高い地域。再エネの導入が進むと、これまで光熱費として海外に流れていたお金が道内、市内に流れていき、市内の人が使えるお金になる」(山西さん)
参考人のレクチャーによる情報提供の部分は、レクチャーの後に質疑応答、そしてまたレクチャーという流れを繰り返す形で進めます。質問に答える参考人と、全体司会を務める八木さんがビデオをオンにし、参加者はビデオオフのまま声だけの参加です。会議終了後、録画を公開するために、このような進め方をすることにしています。グループ(ブレイクアウトルーム)に分かれてのディスカッションは、全員がビデオオンで進めます。
3番目、4番目の参考人は、久保田学さん(北海道環境財団事務局次長)と、有坂美紀さん(RCE北海道道央圏協議会事務局長)。江守さんによる全体的な情報提供と、札幌市の取り組みに焦点を当てた山西さん、佐竹さんからのレクチャーを補足する形で、とくに論点1(脱炭素社会の将来像)について考える上で大事な視点を話していただきました。
久保田さんは「脱炭素に向けて考えておきたいこと」と題して、脱炭素化の負担や、無秩序な再エネ開発の弊害に対する懸念などのマイナスの側面について指摘した上で、気候エネルギー対策と産業振興、人口減・少子高齢化対策を同時に進めている北海道下川町の事例を紹介しました。
有坂さんは、札幌が脱炭素社会に向かう際に重視すべきことを考えるためのヒントとして、国連が掲げている「持続可能な開発目標(SDGs)」を取り上げました。気候変動対策はそれ自体が、SDGsの目標13に掲げられているだけでなく、貧困世帯の暖房費用の問題や、再生可能エネルギーの発電施設の開発に伴う自然環境への影響など、気候変動対策に関わる身近な課題を認識する手がかりともなると話していました。
参考人レクチャーの後、4人のグループに分かれて、グループディスカッション。今回は40分ほどしか時間が取れませんでしたが、参考人レクチャーで聞いた情報について感想を述べ合いつつ、早速、論点1「脱炭素社会の将来像」について意見交換しました。次回第2回は、11月22日(日)13:00〜17:00に行い、論点2「エネルギー」を中心に話し合います。