11月30日、12月1日に東京大学で開かれた科学技術社会論学会第23回年次研究大会で、「「科学・公民」教育としての気候市民会議プログラムの開発」と「気候民主主義の日本における可能性と課題に関する研究」の両プロジェクトの一環として、オーガナイズドセッション「気候市民会議の多様な開催を考える」を行いました。オーガナイザーは、「科学・公民」教育プロジェクトの八木絵香が務めました。
1日に開いたセッションでは、松浦正浩・明治大学教授、川上雅弘・京都産業大学准教授、八木絵香と三上直之が報告。ディスカッサントの江守正多・東京大学教授のコメントを受けて、会場の参加者とともに気候市民会議について議論しました。
三上の報告では、最初の気候市民会議の試行から4年が経過し、行政や市⺠団体、研究機関などが開催する気候市⺠会議が、首都圏を中心とした各地の自治体で広がってきた動向を概観しました。
八木からは、2023年から24年にかけて3回実施したワークショップ「気候市民会議の多様な開催を考える」を通して明らかになった、気候市民会議の開催をめぐる関係者の期待や誤解、課題について報告がありました。
松浦教授は、地区レベルでの気候市⺠会議の実践事例として、自らが企画から調査までを手がけた「みその気候市民会議」(さいたま市浦和美園地区で実施)について紹介しました。
川上准教授から、科学技術の社会課題についての対話を経験するためのカード型教材「Building Dialog」の気候変動バージョンを開発中で、高校生や大学生による試行を実施して改善を進めていることが報告されました。
大会2日目朝9時からのセッションでしたが、会場には30人ほどの参加者が集まり、報告された事例や、日本における気候市民会議の多様な可能性について活発に意見交換がなされました。
報告する松浦教授(左上)と八木教授(左中)と川上准教授(右上)、コメントする江守教授(左下)、会場に集まった参加者(右下)